[松山事件]


　斉藤幸夫さん



====事件の概要====

　1955年10月18日未明、宮城県志田郡松山町のＯさん宅が出火全焼し焼跡から一家 ４人｛夫（53歳）、妻（42歳）、四女（10歳）、長男（６歳）｝の焼死体が発見さ れた。死体解剖の結果、３人（夫、妻、四女）の遺体の頭部に刃器によるもとの見 られる傷跡が認められた為、殺人・放火事件である可能性が高いとして捜査が進め られたが、一ヶ月たっても容疑者を特定できず、捜査本部は解散された。

　その後、少人数で続けられた捜査線上に、事件後東京へ働きに出ていた斉藤幸夫 さん（当時24歳）が浮かび上がり、12月２日に別件（喧嘩による傷害容疑）で逮捕 された。
　斉藤さんは、同月６日に「自白」し、８日に本件で再逮捕となったが、15日には 「自白」を撤回、16日には再度「自白」し、17日には再度否認した。以後否認を続 けたが、30日に、強盗殺人罪および非現住建造物放火罪（全員を殺害後に放火）で 起訴された。

　第一審の仙台地裁は、「自白」や掛布団襟当付着血痕等を証拠に、有罪と認定し て、「死刑」を判決。その後の仙台高裁への控訴は棄却され、最高裁への上告も棄 却となり「死刑判決」が確定した。

　獄中より無実を訴え続けた斉藤さんは、第２次の再審請求が認められ再審裁判が 開始、1984年７月11日に仙台地裁の”無罪判決”を獲得し、獄中より生還を果たし た。（死刑確定者としては３人目の再審無罪による生還）




#####視点#####
証拠の変造 - - - 血痕

　唯一の「物証」といえる掛布団は、変造（押収された後に血痕を付着）された疑 いが極めて強い。

　押収時に捜査官が撮った写真には１個しか血痕らしきものが写っていなかったの にもかかわらず、公判時には、表裏80個以上の粟粒大のものが付着していたのだっ た。 




((( 略歴 )))

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 1955.10.18---Ｏさん一家４人焼死体で発見される             
      12. 2---斉藤幸夫さん別件（傷害容疑）で逮捕される     
      12. 8---本件の強盗殺人容疑で再逮捕                   
      12.30---強盗殺人罪等で起訴                           
 1957.10.29---第一審判決（仙台地裁）･･･ 死刑               
 1959. 5.26---控訴審判決（仙台高裁）･･･ 控訴棄却           
 1960.11. 1---上告審判決（最高裁）  ･･･ 上告棄却           
 1961. 3.30---第１次再審請求 ===＞ 棄却                    
 1969. 6. 7---第２次再審請求                               
 1971.10.26---請求棄却（仙台地裁）                         
 1973. 9.18---地裁へ差し戻し（仙台高裁）                   
 1979.12. 6---再審開始決定（仙台地裁）                     
 1983. 1.31---検察側の即時抗告を棄却（仙台高裁）           
 1984. 7.11---再審判決（仙台地裁）  ･･･ 無罪               
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戦後の主な事件

冤罪事件関係データベース