[渋谷区円山町事件]


 ゴビンダ・プラサド・マイナリ さん



====事件の概要====

 1997年3月19日、東京都渋谷区円山町のアパート内で、同月9日以降所在不明 となっていたAさん(39歳)が、殺害された状態で発見された。

 現場が、借家人の決まっていない空室状態の部屋であった事から、現場近辺の 状況に詳しい者の犯行である可能性も考慮され捜査が行われていたが、同月22日、 殺害された女性が発見された部屋の鍵を預かっていたことのあるネパール人の ゴビンダ・プラサド・マイナリ さんが、同事件に関連して警察が自分を探してい る事を知人から聞き、事情説明等の為、自ら、渋谷警察署に出頭した。

 警察は、別件の出入国管理法違反容疑でゴビンダさんを逮捕、本件の殺人に関 する取調べが連日行われた。

 ゴビンダさんは、本件殺人を一貫して否認。
 裁判の場に於いても、無実を訴え続けたゴビンダさんに対し、東京地裁は、 2000年4月14日、ゴビンダさんの犯行であるとは断定できないとして、無罪を宣 言した。

 釈放され自由になると思われたゴビンダさんに対し、検察側は、第二審におけ る裁判維持の為に勾留を継続。
 ”無罪判決後の勾留” に対しては、批判の声も極めて強く、その当否は最高 裁迄争われたが、最高裁は、僅差(裁判官5名中反対意見2名)で、なんと、 勾留維持を認める決定をしてしまったのであった。

 2審の東京高裁は、2000年12月22日、特段の状況変化が無いにもかかわらず、 無期懲役を判決。
 最高裁は、2003年10月20日に、上告を棄却した。

 獄中に於いても無実を訴え続けるゴビンダさんは、2005年3月に、東京高裁に 対して再審請求を行った。
 請求を受けた東京高裁は、2012年6月7日、弁護側が提出したDNA鑑定に関する 証拠を、再審を開始すべき”新たな証拠”と判断し、再審の開始を決定した。

 同年10月29日に再審の初公判が開かれたが、弁護側のみならず検察側も無罪を 主張した為、この時点で、”無罪”となる事が、事実上確定した。
 同年11月7日に開かれた再審の判決公判では、当然の事ながら、12年振りに、 再度、”無罪”が宣言された。







((( 略歴 )))
 ********************************************************* 
 1997. 3.19---Aさんが殺害された状態で発見される           
       3.23---出入国管理法違反容疑で逮捕             
       5.20---殺人容疑で逮捕                      
       6.10---強盗殺人罪で起訴                     
 2000. 4 14---第一審判決(東京地裁) ・・・ 無罪           
      12.22---控訴審判決(東京高裁) ・・・ 無期懲役         
 2003.10.20---上告審判決(最高裁)   ・・・ 上告棄却         
 2005. 3.24---再審請求                                     
 2012.06.07---再審開始決定(東京高裁)              
      10.29---再審初公判(東京高裁)                 
      11. 7---再審判決(東京高裁)   ・・・ 無罪           
 ********************************************************* 



おめでとう ゴビンダさん

戦後の主な事件

冤罪事件関係データベース